大人は見えない

しゃかりきコロンブス

OKAMOTO'S『BOY』

www.okamotos.net

 

 

BOY

BOY

  • OKAMOTO'S
  • ロック
  • ¥2100

 

 

 

2019年始まったばかりなのに、すでに今年のベストに選ばざるを得ない名盤が発売されました。OKAMOTO'Sの『BOY』。もうずーっと楽しみにしていて、発売が近づくにつれてインスタのストーリーでちょっとずつ公開されるからもうウキウキしっぱなしで。先行配信の『Dreaming Man』と『Higher』の時点でやばいやばいコレやばいの来る…と思っていたのですが、その期待を悠々と越えていきました。サブスクで聴いて、これは後世に残したい!と思い、フィジカルを買いに走ったほど。先に貼ったリンクのメンバーインタビューが素晴らしいので必読です。これ絶対聞き手三宅さんだ!と思ったら案の定。この他にシンラのインタビューも、ナタリーの10年間振り返り記事も良かった。全部アツいインタビューで、このアルバムに懸ける思いが直球で伝わってきます。全曲感想書きまーす。

 

 

#1 Dreaming Man

オカモトズはこれでなきゃ!という満点スタートダッシュ!!キャッチーなんだけど、ショウくんの歌い出し、エイトビート、ロックンロールみすらあるギター、丁寧なベースなどなどオカモトズだけのオンリーワンが詰まっている気がする。てかそれぞれがこんだけかっこいいことしてるのに曲はめちゃくちゃ泥臭いの、もはや才能。最初MV公開された時は10周年のタイミングで歌うことにめちゃ意味があるな~と思ってたけど、そんなことなかったです。これから何年も、何十年も続いていくオカモトズの歴史の中でいつまでも色あせない名曲。

 

#2 Hole

テンションの持っていき方がうまいな~と思った2曲目。1曲目にあんな名曲かまされたら先に進めなくなるじゃん!!と思いきや、すっごいナチュラルに繋いでいくんです。別にこの曲が繋ぎの1曲というわけではなくて!!!全然違うジャンルなのに、同じテンションを水平移動させられるオカモトズの『BOY』という信念と技術力、音楽の幅にやられる、という意味です。ラスサビ手前のハマくんのベースが好きです。

 

#3 FOOL

ライブで絶対聴きたい一曲!踊りたくて今から体がうずうずしています。DNAレベルで踊りたくなる~でもそこまでダンサブルな要素が強いわけではなくて、やっぱりバンドの曲なんですよね。楽器を演奏する人が作ったとわかる。そこがオカモトズの面白いところだな~としみじみ思いました。前作『NO MORE MUSIC』を経ての影響もありそう。あとこの曲はショウくんにしか歌えない!色気もありつつ突き放しつつ、お茶目でもある、みたいな…私が好きなショウくんの要素全部詰まってます、ありがとうございます。

 

#4 Higher

先行配信の時から「ハイ、やりました~この人たちやりました~ここに天才がいま~す」って悪態ついちゃうくらい好きです。言わずもがなベースライン。これがいわゆるトラップぽさってことなのか?レイジくんが最近のK-POPから影響受けたって何かで言ってたから、多分そうなんだと思う(不勉強ですみません…)。今っぽいしね。これも前述のとおり、ヒップホップの流行を取り入れてるんだけど、きちんと骨太のバンドが作った曲なんだよな~もうさすが10年選手。そしてサビの抜け感たるや。気持ちいい~。

 

#5 ART(FCO2811)

ハードロックな演奏と小説のような歌詞の描写のアンバラスさ、そのアンバランスさによって曲に懸けた思いが心臓に直接ズン!と届く…名曲…。てかこれ譜割りどうなってるの??もはや語りのような部分もあり、しかもそこに美しいストリングスが重なり、耳が気持ちいいです。ショウくんの実話らしい、大切にしたい一曲です。

 

#6 偶然

コウキくん曲。ポールオースターの本『偶然の音楽』からインスパイアされてできたそうで、ここにもポールオースター好きがいるなんて!と素直に嬉しい。サビ手前のシンプルなギターの2音が好きです。歌詞も含めて『BOY』の中で一番大人な曲だと思う(笑)でも『BOY』な人だな~とは思える名歌詞。「傷ついたぶんだけ 取り戻そうとしてしまう」とか。そして曲の温かみ。ちょっとファンクっぽいから大人な雰囲気にもなって…アウトロがまた最高。

 

#7 NOTHING

ディズニー作品の劇中歌みたい!と初聴きで感じました。壮大な物語が始まりそうな予感がしないですか?マーベル作品でもいけると思う。やっぱり流行りのムードが組み込まれてるからなのか…エミネムの『ヴェノム』感もあるような。ギターの小気味良い感じと落ち着きのあるベースの対比が好きです。間に入るドラムがシンプルで、引き算~!ってなる。

 

#8 Animals

打ち込みで作ったようなポップ感が今っぽくておしゃれ!てかどこまでが打ち込みの音なんだろうか…境界があいまい、つまりスゴイ。対して深刻な歌詞!というか異常なまでの冷静な視点!現実味!ドリーミングマンどうしたんだよ!と言いたくなる。でもねでもね、ここからラストまでの流れがまた素晴らしいんだ~。ドラマチックなラストにぐいっと持っていくのにこの曲は欠かせないです。

 

#9 DOOR

みんなのうたで放送されるだけあって、この曲が一番素直に『BOY』だなあと思いました。スタンスやまっすぐさがめちゃくちゃ『BOY』。今までのオカモトズにはあんまりなかったミディアム~スロー気味な曲なんだけど、伝えたいことが一番口語的になっているだけというか、やっぱりシンプルで一貫してる。ショウくんこういう歌でもいい味出てる~。

 

#10 Dancing Boy

『Dreaming Man』から始まって『Dancing Boy』で終わってまた『Dreaming Man』に繋がっていくという、もはややりつくされ、様式美と化しているこの手法でこんなに泣けるとは…。またメロは美しくて、歌詞は暑苦しくて、全部ひっくるめて愛おしくてたまらんのです。カッコイイのに、やっぱり『BOY』なんだよなあ、と、なぜか母親のような気持ちになりました。これ武道館で聴いたら多分泣いちゃう。まだまだオカモトズに夢を見続けられることに涙。今すでに泣きそうだし。

 

 

全曲感想おわり。

でもここまで書いておいてアレなんですが、このアルバムは曲単位で聴かずに通しで聴くべきです。圧倒的に。単純にラストから頭に戻っていくループ感が良いというだけではなくて、アルバム1枚通して聴かないとわからないことがある気がするのです。一曲ずつ取り出してみると、なんで10周年というこのタイミングでこの曲なんだろう?みたいな曲がたくさんあって。でも、通しで聴くと、この曲はここに存在して然るべきだ…となる不思議。今っぽいヒップホップの要素が組み込まれている曲もあれば、なんとなく懐かしさを感じる曲もあり、歌詞を聴かせる曲もあり。これが全部全部オカモトズであるという…実態がつかめない生き物みたい(笑)

その実感のなさというか、つかめそうでつかめない「オカモトズみ」を『BOY』と名付けた、と私は解釈しました。というのも、ハマ君がシンラのインタビューでそんなことを言っていて、あ~なるほどな!と膝を打ちまして。言葉のとらえ方としては、あっこちゃんの『GIRRRLISM』に近い気がします。そういうものを新しく名付けたよ、っていう感覚。

自分が言いたかった言葉が小説や映画やドラマに組み込まれていて、これだ!!!!!!となることはあるあるだと思うんですけど、わたしにとって『BOY』もまさにそれでした。ああ私が持っていたこの感覚は、オカモトズの『BOY』だったんだ、これをベースにして迷ったらここに戻ってこよう、と。歌詞がどうのとかじゃなくて、ああ、私はオカモトズの『BOY』だったんだ~っていう(笑)なんだこの語彙力のないクソ文章は。こんなクソ文章読むくらいならシンラのインタビュー読んでください。

 

www.cinra.net

 

比喩とかではなくゴチゴチにエンドレスリピートしています。でも今までの作品(歴史)も聴きたくなってきた!いつまでも『BOY』でいたいと思う超名盤でした。