大人は見えない

しゃかりきコロンブス

映画『散り椿』

思い立った時に一気に書くスタイル。

我らが岡田准一主演『散り椿』見てきました。

つらつらと脈絡もなく感想を垂れ流します。大ネタバレ。

 

まず初めに。とにかく最高でした。今年見た邦画暫定一位です。と言いつつ今年邦画全然見てなかった。多分『劇場版コードブルー』と『去年の冬、君と別れ』くらいしか見てない。じゃあ近年見た邦画の中で、というとベスト3には入ると思います。

この時代にこんなに上質な時代劇撮れるんだなと素直に驚いた。時代劇って、クラシック化したものを最新キャストで撮ったり、コメディに走ったりしかできないと思ってました。『るろうに剣心』はアクションだし。さすが木村大作監督。フィルム撮りの良さを活かせる静かな脚本で見せ方もほんとうまかった。俳優も緊張感のある演技が素晴らしかった。すべての要素が計算されつくしてるようで、でもすべてが自然で無理ない。

以下感想。

 

キャッチコピー「ただ、愛のために」になぞらえて、それぞれの愛について分けて書く。多分。書きながら変わるかも。

まず開始5分間の美しさ。ここは夫婦愛のターン。おかだにりあこの人はマジで落ちます。堂上教官よりかっこよかったです。ブイオタ的には「10周年の北海道旅行のおかだ」といえば伝わるでしょうか。すましてるようで何か強い意志を持ったまっすぐな瞳。身体が弱く死が迫っていることをわかっている麻生久美子の儚さ、それを守ろうと、どうにか消えないようにと包むおかだ…。

理想の夫婦過ぎました。おかだ相変わらず手がきれい。

 

そして兄弟愛。マジで黒木華ちゃんが麻生久美子に見える瞬間が何度もあった。池松壮亮も、兄が殺されたか切腹したかなんかで(忘れた)男は自分一人だから、末っ子だけどしっかりしなきゃという佇まいが良い。そんな池松壮亮を心配する黒木華ちゃん、麻生久美子が乗り移ってました。坂下姉妹かわいすぎて「坂下姉妹のほっこり暮らし」とかいうスピンオフ欲しいくらい。

 

そこに岡田がなかば転がり込むような形で約一年?一緒に暮らします。散り椿が見られる季節になるまで。

最初は拒絶反応を示していた池松壮亮がだんだん心を開いていく感じは胸アツ。これまさに家族愛。雪の中剣の稽古をつけてもらうシーンは、雪がすごすぎて表情見えなかったけど、きっと本当のお兄さんとの時間を楽しんでいたと思う。お酒も1杯だけっていうのに注がれちゃう感じとかも良かったです。そして剣術の成果が出るシーン最高だった。強くなったのう~って池松壮亮のおばあちゃんになっちゃった。

 

そう、雪とか雨がすごくて、俳優陣の表情が見えない時が何回かあって、そこがすごく好きだった~。抑揚が少ない中、感情の動きを大げさに見せずに想像させるのはさすが大作爺ちゃん…。いつもカワイイインスタ投稿ありがとう。そこで一個大げさな演技が入るとなんか全部が嘘っぽくなっちゃうもんね。

本当の気持ちを隠して生きることが普通だった時代背景も相まって効いてました。

 

んで私が一番ぐっと来たのは、友情です。それも愛。これも愛。多分愛。きっと愛。

まず「四天王」という設定が最高すぎる。四天王は駿河太郎、緒方直人、西島秀俊、お岡田准一、です。剣術がすごかったからそう呼ばれてた。花男のF4的な。ここもスピンオフ欲しい。「四天王青春物語~蜻蛉切り習得編~」とか。

鶴瓶の息子こと駿河太郎はすでに死んでます(切腹)。

緒方直人は西島秀俊の下で働いてる感じ。用心棒的な。新しい藩のリーダーを警護していたら撃たれて死んじゃいます。そこで息を引き取る直前に、岡田が犯人だと言われていた事件は、自分が西島秀俊を守るためにとっさにやったんだ、と告白します。しかも自分の娘を渡す池松壮亮に。ああ最高。

緒方直人&西島秀俊の回想シーンめっっちゃいい。誰の表情もしっかり見えないけど、なんか心が通ってます。

 

そしてかの有名な岡田VS西島の殺陣ですよね。

ツイッターでたくさんのアクションファンの方々や時代劇ファンの方々に褒めてもらってて、本当に誇らしいです。ほんと重心がぶれない。エンドロールの「殺陣 岡田准一」はすげえわ。「アクション担当 トムクルーズ」と同じ領域。MI6最高でした。

背景にどしんと構える椿の木と、それぞれの思いを持った戦い。マジで痺れました。お互いが「お前に殺されるなら本望」みたいな。二人とも死ななそうな身のこなしなのにそれを感じさせるのは、演技力なんでしょうね。無理泣いちゃう。友情万歳。長年の確執が解消され、悪いやつ=奥田英二のもとに向かいます。

 

奥田英二軍との戦いシーンは、びっくりするほど鮮血が飛び散ります。ふなっしーもびっくりなブシャー具合。画面いっぱいに殺気が充満していて、圧巻でした。そして号泣。いやマジでこんなに泣くと思わなかった。四天王で岡田だけ残して死なないでえええええええええ西島さんんんん号泣。そっからの岡田がマジ無双。無双ストロング。アンジュルム。強すぎ。もう誰も止められないし逃げられない。

『永遠の0』がアカデミー賞なら、『散り椿』はそれ越える。本気でそう思えるくらい、俳優・岡田准一がすごかった、このシーンは。これは、贔屓目なしで自信を持って言えます!!あの頃より何倍も強くなってるし、何倍も研ぎ澄まされている。

 

ラスト、黒木華ちゃんと別れるシーンも素敵でした。

 

藩の中の人事の話は説明的になっちゃうから書かないけど、「藩を仕切るのは俺だ!ガチンコバトル!」みたいなスピンオフもお願いします。

これだけスピンオフ欲しいと思えるのは、キャラクターへの愛着が湧いたから。これはまぎれもなく俳優陣の演技力。あっぱれ。あと5時間くらい、この人たちの人生を見ていたい、そして幸せに生きていく姿を見届けたい、と思いました。

 

助演男優賞は、物語の抑揚も少なく、常に緊張感が漂う中で、出てくるだけで隙を与えてくれる人「柄本時生」です。本当に変えのきかない俳優さん。大好きです。

 

…って感じ~ああもう一回見たい。

時代劇とはいえ、どの時代を勉強してから見に行かなきゃ!とかないし、ストーリーはめちゃわかりやすかった。

劇場は結構埋まってたんだけど、私の両親より上世代の方々しかいませんでした。私マジで浮いてた。若い人にこそ見て欲しです。まだまだ良い邦画は生まれてくるんだぞ!と声を大にして言いたい。セオリー通りに感情を動かされるだけじゃつまんない。「泣けます」といわれて泣くだけじゃそれは思考停止してるなと思うのです。なんか説教がましくて申し訳ないですが…。要は、よくわかんなそうな作品も食わず嫌いせずに見てみよう、ってこと!

だからホラー無理な人も12月7日公開、岡田准一主演『来る』見てね!中島監督だから原作よりは絶対ポップになってるよ!!大丈夫!!(何が)

 

今後一週間くらいは「散り椿最高bot」と化すでしょう。

そしておかわり椿して、「散り椿もう終わっちゃうから絶対見てbot」になるのです。